政策形成の「見える化」として政府が取り組む掲示板サイト

文部科学省様

文部科学省様

業種

官公庁

対象サービス

熟議カケアイ

サービス規模

非公開

コミュニティパトロール導入についてインタビュー

文部科学省が運営する、国民の声を集め教育政策を創り出す掲示板サイトの監視を行っています。ユーザーがテーマについて円滑に議論を行えるよう、議論の元となる投稿をしっかり見ることができる研修体制を整えました。

不適切投稿が非常に少なく、安心して責任を持った議論を行えるサイトとなっています。

「熟議」について教えてください。

「熟議」とは、「多くの当事者による『熟慮』と『討議』を重ねながら政策を形成していくこと」です。多くの当事者が集まり、課題について学習・熟慮し、討議をすることで、互いの立場や果たすべき役割への理解が深まり、解決策が洗練されていき、個々人が納得して自分の役割を果たすようになる、といったプロセスのことを「熟議」と呼んでいます。

「熟議」とはどういうサイトですか?

まず、文部科学省における教育政策形成の取り組みは、大きく2つの手法を軸にして進めています。一つは中央教育審議会等における専門家による検討、もう一つは当事者による熟議です。当事者には、教員、保護者、学校・地域ボランティアなどさまざまな方が含まれます。

当事者による熟議には、実際に対面で行う「リアル熟議」とWebサイト上での「ネット熟議」がありますが、「熟議カケアイ」は、その「ネット熟議」の主たる場です。

2010年4月17日にスタートし、当初は熟議テーマとして2つ、「教員の資質向上方策は?」というものと「未来の学校」というものを用意しました。「熟議カケアイ」は会員登録すれば誰でも参加可能で、サイト内でテーマについてのコメントを投稿することができます。時間と空間の制約が少なく、広く様々な方が参加することができ、また、そこでなされる議論のプロセスも共有することができます。

このような、当事者が学び合いながら、責任を持った議論を積み重ねていくことで、よりよい政策を作っていくためのWebサイト上の取り組みは、政策形成の「見える化」として政府が取り組む国内初の試みです。

「熟議カケアイ」の運用体制について教えてください

「熟議カケアイ」を始めるにあたって、ネット上で議論をするという試みですので、やはり、サイトとしていわゆる「荒れた」状態にならないか、それをいかに防いで、テーマについて熟議していただけるか、という点は大きく検討した点でした。国と国民という対立構造ではなくて、両者が当事者として熟議に関わり、円滑に議論が進められることを目指しました。

そのために、民間の方に、議論の中立に立つファシリテーターとして入っていただき、例えば、参加者間で過度の対立が起こるような場合等には、緩衝材としての役割も果たしていただくことにしました。また、ネット上の議論は毎日24時間行われるため、休日や夜間の対応、また職員の業務負担を軽減するといった観点からも、投稿監視を専門業者に委託することにしました。

コミュニティパトロールを選ばれた理由は?

実際、委託にあたっては、幾つかの事業者を比較検討しました。その中で、費用対効果がもっとも高かった点と、また研修体制がしっかりしていた点を評価し、ガイアックス社のコミュニティパトロールに委託しました。

「熟議カケアイ」は議論をするサイトなので、その議論の元となるコメント投稿をしっかりみないといけません。その意味で、研修体制は重要であり、かつ、費用対効果も高いというところが採用に至った理由です。

その他、どういったことに注意されましたか?

さまざまな方に参加していただきたかったため、パソコンに疎い方でもなるべく参加しやすいよう、使いやすいデザインを心掛けました。例えば、たくさんの方が参加すると、論点に拡がりも出てくるため、「まとめエリア」を作り、議論の流れをマインドマップ等で示して追いやすくするようにしました。

また、コミュニケーションの作法等を分かりやすく示すようにしました。例えば、サイトのサイドメニューに大きく「熟議カケアイ参加の五箇条」という形で、議論の注意点を表示しています。これは「熟議に基づく教育政策形成の在り方に関する懇談会(通称 熟議懇談会)」の委員である、ネットコミュニケーションの専門家の方々からアドバイスをいただいて行ったものですが、「人を傷つけない発言を心がけましょう」といったことは、大人の方にとって逆に新鮮に聞こえるようで好評をいただいています。

実際に運用を行って、どのようにお感じになられていますか?

端的には、貴重な意見がたくさん集まってきているな、と感じています。その中には、これまで中央教育審議会等で長年積み上げてきた意見と近しいものも多くあります。これまでの意見と近しいものが多いことは残念なことでは決してありません。これまで現場当事者の「生の声」を広く吸い上げることなどを課題に持っていましたが、今回、「ネット熟議」を通じて形成された意見と、中央教育審議会等で積み上げてきた意見に近しいものが多く見られたことで、熟議と中央教育審議会等の相乗効果の可能性を実感できました。実際に、熟議によって審議会がさらに活性化し、それを受けてまた熟議も活性化するように感じています。

また、同時に進めている「リアル熟議」の方も、毎週のように全国津々浦々で開催されてきています。文部科学省の人間も、実際にファシリテーターや一当事者として熟議に参加させていただく機会がありますが、現場の方からわれわれに対して「インターネット上でも議論でき、リアルでも議論ができたことで距離が近くなったように感じる」「対等の場で議論していく姿勢が感じられた」というお言葉も頂戴でき、これまでになく直接的な対話が進められているのではと感じています。

今後の「熟議カケアイ」について教えてください

「熟議カケアイ」の主な目的の一つとしては、よりよい教育政策形成につなげるということがありますので、熟議を重ねることで、意見をもっと洗練させていきたいと考えています。時間と空間の制約が少なく様々な立場の方が参加できる、という特性を活かし、「現場の当事者の方がどのような問題意識を持っているのか」というあたりをもっと吸い上げていきたいと考えています。

教育現場というのは通り一遍ではないため、現場の創意工夫が非常に重要だと考えています。この「熟議カケアイ」を通じて現場の斬新なアイディアをもっと吸い上げていければと考えています。

また、こういった「ネットでの議論」を通じた政策形成の取り組み自体が、非常に新しいものですので、他の省庁からも問いあわせがきています。2010年6月に発表された政府の「新成長戦略」にも熟議の取り組みが明記されていますし、そういった意味も含め、展開が拡がっていけばと考えています。

※ コミュニティーパトロール事業は現在ガイアックス100%子会社、アディッシュ株式会社にて提供しております。

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